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福岡高等裁判所 昭和37年(ネ)8号 判決 1963年5月08日

控訴人 吉岡俊雄

被控訴人 東洋硝子株式会社

主文

一、控訴人に対し家屋の収去、宅地の明渡しを命じた原判決に対する控訴を棄却する

二、控訴人に対し金員の支払を命じた原判決(主文1の後段)中、金額六、OOO円にかかる部分を取消す。

三、右部分の被控訴人の請求を棄却する

四、右棄却した部分を除いて金員の支払を命じた原判決に対する控訴を棄却する

五、訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする

事実

控訴人は「原判決中控訴人にかかる部分を取消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴人は、「控訴棄却、控訴費用は控訴人の負担とする」との判決を求めた。

事実及び証拠の関係は、控訴人において「原判決事実らんの控訴人の主張四、五をつぎのとおり訂正ふえんする。(一)昭和三四年七月頃被控訴会社の取締役兼総務部長訴外森次郎が同会社の代理人として福岡に来た際、控訴人は訴外坂本末男に依頼して債務の減額を交渉して貰つたところ、森次郎は債務額の一、二割程度であれば、自分一存で減額してよいが、多額の減額は被控訴会社に帰つて協議の上返事をする。なお、本件土地は一応被控訴人名義に所有権移転登記をしておくが、控訴人が同土地の地代を支払つてさえゆけば、それが債権額に達したときは、控訴人に対し本件土地を返還すると言明した。当時森次郎は、本件土地上に控訴人らが営業兼住居用の建物を所有していることを熟知しておつたし、右言明のいきさつから、被控訴人において建物の収去を請求するようなことはなく、後日土地の賃料を協定して、賃料さえ滞りなく払つておればよいだろうと心得て、なんの不安もなく被控訴人のために本件の土地所有権移転登記をなすに必要な控訴人の委任状及び印鑑証明書を森次郎に交付した。そして、被控訴人から債務減額の程度並びに賃料額の協定について、なんらかの交渉があるものと期待していたが、なんらの交渉もなく突然本訴の提起を見たものであるが、右のような事実は、土地の賃料の確定を後日に譲つた賃貸借契約か、もしくはその予約が成立したものと解すべきであるので、被控訴人は本件土地を控訴人に賃貸すべきである。(二)右が理由なしとしても、被控訴人は本件土地に関する代物弁済予約成立の当初から、控訴人が同土地上に営業兼住居用の本件建物を所有し、これを占有しているものであることを熟知の上、土地のみを代物弁済予約の目的としたので、予約完結後地上建物を収去する旨のなんら約定がなされなかつたから、当然土地については黙示の賃貸借またはその予約が成立したものというべきである。(三)かりに然らずとするも、右の(一)(二)のような事情の下に、本件土地が被控訴人に帰した場合、被控訴人は国家経済上並びに道義上本件土地を控訴人に賃貸するのが至当であるのに、これにつきなんらの折衝もせず、また控訴人が相当と認める本件土地の賃料を被控訴人に送金したのに、これを本件土地の賃料相当の損害金に充当受領し、その上本件建物の収去を訴求するのは、権利の濫用であるか、信義誠実の原則に反するものである。(四)本件代物弁済の予約は、債権担保の目的でなされたものであり、予約完結による目的物の所有権移転は、一般の任意処分によるのと性格を異にし、むしろ抵当権の実行による競売手続に基く所有権移転と趣を同じくするのであるから、民法第三八八条の類推適用を受くべく、よつて控訴人は本件土地上に、本件建物の所有を目的とする法定地上権を有するものというべきであり、または黙示の地上権もしくは賃借権の設定があつたものと解すべきである。」と述べ、当審証人森次郎、青木晋一、坂本末男の各証言、当審控訴本人尋問の結果を援用し、甲第六号証ないし第一一号証の一、二の成立を認め、

被控訴人において「控訴人の前(一)ないし(四)の主張事実中、被控訴人の主張に反する部分は否認する。」と述べ、甲第六号証ないし第一〇号証、第一一号証の一、二を提出した外は、原判決に示すとおりである。

理由

一、成立に争のない甲第一号証、第三号証の一、二、第六号証ないし第九号証、原審及び当審証人青木晋一、同森次郎(原審は第一回)、原審証人吉江喜三蔵(後記排斥部分を除く)の各証言、当事者弁論の全趣旨、当事者間争のない事実によれば、つぎの事実すなわち、

控訴人は昭和三一年八月三日現在被控訴人に対し、買掛金など合計金一、八二〇、二二九円の債務を負担していたので、右当事者は合意の上同日同金額を貸借額としこれを消費貸借に改め(1) 控訴人は被控訴人に対し、同金員のうち八二〇、二二九円は昭和三一年八月から同年一二月末日までの間に、残り金一〇〇万円は昭和三二年一月から同年一二月末日までの間に分割弁済することと定め、控訴人はその支払のため右の八二〇、二二九円と一〇〇万円を手形金額とし、満期を前示各支払期の末日とする約束手形各一通を被控訴人に振出し交付すること。(2) 利息は無利息とするも分割金の支払を怠つたときは、控訴人は期限の利益を失い、債務全額を一時に支払うこと。(3) 控訴人は被控訴人に対し右準消費貸借上の債務を担保するため、控訴人所有にかかる原判決末尾目録(一)記載の土地につき、第二順位の抵当権を設定すること。(4) 控訴人が右債務の履行を怠つた場合は被控訴人は遅滞時における残債務全額の支払いに代えて、(この点後記説明参照)右抵当土地を代物弁済として取得しうること、ただし右代物弁済予約完結の意思表示は、被控訴人から控訴人に対し内容証明郵便をもつてなすこと。(5) 被控訴人が右代物弁済により抵当土地の所有権を取得した場合は、控訴人は直ちに被控訴人に協力して被控訴人に同土地の所有権移転登記をなすと共に同土地を引渡すこと。なお控訴人はこの履行を確実にするため、登記に必要な委任状、印鑑証明書等の書類を被控訴人に差入れること。(6) 控訴人は前示抵当権設定登記とともに右(4) の約定に基いて被控訴人に対し代物弁済予約上の権利を保全するため抵当土地について所有権移転請求権保全の仮登記をすること。(7) 控訴人は抵当土地について他人に対し賃借権その他担保権を設定しないこと。(8) 右(5) ないし(7) に違反したときは控訴人は期限の利益を失うこと。等の契約を締結し、(9) ついで被控訴人のため昭和三一年一〇月二一日福岡法務局受付第二七、〇二一号をもつて、本件土地につき約定の抵当権設定登記、同日同局受付第二七、〇二二号をもつて同土地につき約定の所有権移転請求権保全の仮登記をなしたこと。(10)控訴人は前記(1) の分割払い債務を最終期限の昭和三二年一二月末日までになんら弁済しなかつたので、被控訴人は少くとも右期限を過ぎるとともに、約定の予約完結権を取得し、これを行使して本件土地の所有権を取得しうる権利を有するにいたつたのであるが、控訴人が種々の言辞、理由を述べて弁済の猶予を懇請したため、被控訴人においてもこれを容れ、相当永い間待つてやつたが、控訴人は昭和三三年一〇月二八日僅かに金三五、五〇〇円を弁済したに過ぎず、(この点は当事者間に争がない)昭和三四年七月になつて、被控訴人に対し債務を金四〇万円に減額し他を免除するよう要求するにいたつたので、被控訴人において遂に昭和三四年七月二一日附書留内容証明郵便(同月二四日到達)をもつて控訴人に対し、本件土地についての代物弁済予約完結の意思表示をなした(この点も当事者間に争がない)こと。

以上の事実が認められる。この認定に反しあるいは反するかのような乙第一号証、原審証人吉江喜三蔵、原審並びに当審における証人坂本末男の証言、同控訴本人尋問の結果は、先に挙示する証拠と対比し信用できず、その他に反証はない。

控訴人は被控訴人に対する前認定の債務のうち、金四三一、八〇〇円は準消費貸借成立当時すでに弁済ずみであつて、債務は金一、三五二、九二九円に過ぎなかつたと主張するが、右に排斥した証拠を外にしてこれを認むべきなんらの証拠もないので、右主張は採用できない。

二、しかして、被控訴人が前示予約完結権の行使により、本件土地について昭和三四年八月二〇日所有権移転の本登記を経たこと、控訴人が昭和三一年八月三日当時から現在にいたるまで同土地上に本件家屋(原判決末尾目録(二)の家屋)を所有し、同土地を占有していることは当事者間に争がないので、控訴人は昭和三四年七月二四日以降は被控訴人の所有に帰した本件土地上に本件建物を所有し、同宅地を占有使用しているものといわなければならないので、特段の事情のないかぎり、控訴人は被控訴人に対し、本件建物を収去し、本件土地を明渡すべき義務があるとせねばならない。

三、よつて控訴人の被控訴人は本件建物の収去と本件土地の明渡請求権を有しない旨の抗弁について順次判断する。

(一)  控訴人は昭和三一年八月三日当時被控訴人から、しきりに前示売掛代金の請求を受けていたため、控訴人は弁済資力なく困窮状態にあつたところから、やむなく被控訴人の要求に応じて、当時少くとも一坪当り金四万円の価格ある本件宅地について前示代物弁済の予約をなしたのであるから、同予約は公序良俗に違反し無効であると主張する。ところで、代物弁済の予約において、(イ)債務の履行に代えて給付することを予約した物または権利の価額が債務額をはるかに超過し、当該事情から見て著しく不権衝と認められる場合に、その予約が債務者その他給付をなすべき者の軽卒・無経験または急迫な困窮に乗じて締結されたものであるときは、右予約は公序良俗に反するものとして無効というべく、(ロ)また債務者その他給付をなすべき者が急迫なる困窮状態にあるのを知悉しながら著しく債務額を超過する価額ある物もしくは権利について代物弁済の予約をなさしめたときは、特段の事情のないかぎり、同予約は債務者その他給付をなすべき者の急迫な困窮に乗じてこれを約諾させたものと推定し、同予約は無効と解するを相当とする。よつてこれを本件について見るに、控訴人が昭和三一年八月三日被控訴人に対して負担する金一、八二〇、二二九円の準消費貸借上の債務を弁済しない場合は、被控訴人においてその弁済に代えて本件土地の所有権を取得しうる旨の代物弁済の予約のなされたことは、前記一に認定するとおりであるが、原審鑑定人久世五郎の鑑定の結果によれば、予約成立当時における本件土地の裸地としての価額は、二一四万円程度であつたことが認められ、これに反する証拠はないので、代物弁済の予約の目的とされた本件土地の価額が控訴人の負担する債務額を著しく超過するとは認められないばかりでなく、被控訴人が控訴人の軽卒・無経験または急迫な困窮に乗じて、控訴人をして代物弁済の予約を約諾させたというような事実を推認するに足るなんらの証拠もない。よつて代物弁済の予約が公序良俗に反するという控訴人の主張は採用し得ない。

(二)  つぎに控訴人は、被控訴人が代物弁済の予約完結権を行使した当時の控訴人の債務額は金一、三五二、九二九円に過ぎなかつたのに、当時の本件土地の価額は一坪当り金四万円合計金四二八万円であつたから、右債務の弁済に代えて同債務額をはるかに上廻る価額を有する本件土地の所有権を取得するため、予約完結権を行使するのは、権利の濫用ないし信義則に反し許されないと主張するので考えるに、一たん代物弁済の予約が有効に締結された以上、特段の事情のないかぎり、予約完結権を行使することは、予約権利者の適法な権利の行使というべく、予約完結権の行使が権利の濫用にあたり信義則に違反するという特段の事情の存することは、予約義務者である控訴人において立証する責任を負担することは言をまたないのであるが、右特段の事情の存するというなんらの証拠もないので、控訴人の主張は到底排斥を免れない。その上、被控訴人が予約完結権を行使した当時の控訴人の債務額は、前記一に認定した事実から推計されるとおり、金一、七八四、七二九円(前示一、八二〇、二九円から昭和三三年一〇月二八日弁済にかかる三五、五〇〇円を差引いた残額)であり、一般物価(土地を含む)の昂騰に伴い、昭和三四年七月予約完結権の行使された当時の本件土地(裸地として)の価額は代物弁済予約成立の時より自然昂騰し計三、七四五、〇〇〇円程度であつたことは、前示鑑定人久世五郎の鑑定意見に徴し明らかであるから、控訴人の債務額に比較すると、被控訴人はその二倍余にあたる本件土地の所有権を代物弁済として取得したことになるけれども、すでに前述のように、代物弁済の予約が公序良俗に反せず有効である以上、この予約を完結して取得された目的物の価額が、たんに債務額の二倍余に当るという事実のみでは、左記のとおりこれをもつて予約完結権を行使することが権利の濫用であり、あるいは信義則に反して許されないとすることはできない。

けだし、前示一に認定したように、抵当債権者と債務者とが金銭債務について分割弁済することを約し、分割弁済を怠つたときは分割払いによる期限の利益を失うと同時に、抵当債権者は抵当不動産を債務不履行時の債務の支払に代えて、代物弁済として取得しうる旨の代物弁済の予約をなした本件のような場合においては、抵当債権者は第一回の分割金不払と同時に(すなわち、債務全額の支払に代えて)、抵当権を実行することを得るし、あるいは代物弁済の予約完結権を行使しうる地位を取得するのであるが、これを行使しない間に分割金の支払が遅滞すれば、その時予約完結権を行使することを妨げないというべきところ、かかる場合当事者の意思は、かりに当初の第一回分割金の支払がなされないため、債務全額の不履行があるとしても、これに対処して、債務全額の支払に代えて、代物弁済として給付を受くべき目的不動産を定めたものと解するのが相当であるから、右代物弁済に関する契約が公序良俗に反し無効であるかなどの判断の一資料として目的不動産の価額と債務額とを比照すべき必要がある場合は、その債務額は当初の債務全額であつて、分割金の支払によつて減少した残存債務額ではないとしなければならない。そして特段の事情のないかぎり、抵当債権者(予約権利者)は分割金の支払を受けても、予約完結権を失うことがないと同時に、抵当債務者(予約義務者)は抵当債権者に対し分割弁済した金額の不当利得返還請求権を有するものと解するを相当とし、かくて抵当債権者と抵当債務者との利害の権衡を調和しうるものと考えられる。本件において被控訴人が控訴人から最終の分割金の支払期限をはるかに経過した後の昭和三三年一〇月二八日金三五、五〇〇円の弁済を受領したのは、控訴人の懇請を容れて、弁済を猶予したという前示認定の事情によるものであるばかりでなく、右弁済の受領によつて被控訴人の代物弁済の予約完結権の行使が妨げられないと同時に特段の事情のないかぎり、控訴人は被控訴人に対し、右の弁済金額につき不当利得返還請求権を有するものというべきである。

要するに控訴人の前示主張は、いずれにしても採用に値しない。

(三)  さらに控訴人は原判決事実らんの控訴人主張事実五(原判決七枚目表の五)のとおり本件土地について賃借権を取得したし、また、本判決記載の事実らんの控訴人主張事実(一)に示すような事情が存在するので、被控訴人との間に本件土地について賃貸借契約もしくはその予約が成立したと主張するけれども右に副うかのような原審及び当審証人坂本末男の証言、同控訴本人の尋問の結果は信用しがたく、かえつて前示一に認定した事実(ことに一の(5) 及び(10)参照)と原審(第一、二回)及び当審証人森次郎の証言とによれば、控訴人のいうような賃貸借契約ないし予約の成立しなかつたことが認められるので、右主張も理由がない。

(四)  控訴人の主張事実(二)について。

代物弁済の予約債務者が自己所有の土地上に自己所有の営業兼住居用の建物を所有し、土地のみについて代物弁済の予約をなした場合において、予約債権者が将来予約完結権を行使して、土地の所有権を取得するときに備えて、当事者間になんらの協議が存在しない場合は、予約完結権の行使によつて、債務者は債権者所有の土地に権原なくして建物を所有し、同土地を占有することとなるのである。

これは、自己所有の土地上に建物を所有する者が、土地のみを他に売却しながら売却後の土地の使用について買主となんらの契約をしなかつた場合と対比すれば明らかであろう。債務者は代物弁済の予約の際(否債権者が予約を完結するまで、要すれば建物の収去にいたるまでの間)、債権者との間に土地使用についての契約を結ぶ機会を有するのであるから、法はこの場合地上建物の存続については、当事者のなす契約の自由に任せたものと解すべきで、控訴人主張のように予約完結後の建物の収去についてなんらの約定がなかつたからといつて黙示の賃貸借契約ないしその予約が成立したものとみるべきではない。控訴人の主張は独自の見解で主張自体に徴し採用し難いばかりでなく、前認定の一の事実(ことに一の(5) 参照)と成立に争のない甲第一〇号証によれば、被控訴人が代物弁済の予約を完結した場合、控訴人は本件建物を収去して、本件土地を被控訴人に引渡すことを約したことが推認できないこともないので、いずれにせよ控訴人の主張は理由がない。

(五)  同(三)について。

しかし所論は独自の見解で採用し得ない(ただし、損害金の弁済の抗弁が理由あることは、後記四のとおりである)。

(六)  同(四)について。

所論の理由のないことは右(四)に説示するところによつて自から領会しうるであろう。建物の所有を目的とする法定地上権は民法第三八八条もしくは国税徴収法第一二七条(同法附則第一二条第三項参照)に規定が存するが、先ず第一に前者は抵当権の存在を前提とし、後者は公売による換価を前提とする。しかして、抵当権の存在しない場合の債務名義に基く不動産強制競売の場合においても民法第三八八条を類推し、法定地上権の成立を認めうると仮定しても、以上の三者を通じ第二に、不動産の強制換価を前提とするのであつて、当事者のなす任意処分の場合について法定地上権に関する民法第三八八条を類推適用し、法定地上権の成立、黙示の地上権または賃借権設定の契約の成立を認めることはできない。要するに控訴人の主張は理由がない。

四、以上の認定説示に照らし明らかなように、控訴人は被控訴人に対し、本件建物を収去し本件土地を明渡す義務があり、また昭和三四年七月二五日以降の本件土地の賃料相当の損害金を支払うべきところ、その損害金が一ケ月につき金五、〇〇〇円であることは当事者間に争がなく、当事者弁論の全趣旨と成立に争のない甲第一一号証の一、二によれば、被控訴人は昭和三四年九、一〇月頃右損害金のうち、金六、〇〇〇円を受領していることが認められる(控訴人の前示主張事実(三)はこの弁済の抗弁を包含するものと解する)ので、控訴人は被控訴人に対し、昭和三四年七月二五日以降本件土地の明渡しにいたるまで、一ケ月金五、〇〇〇円の割合による金員の総額中最も先に弁済さるべき部分から右金六、〇〇〇円を差引いた金員を支払うべきである。

したがつて、控訴人に対し本件建物の収去、土地明渡しを命じた原判決は相当で、これに対する控訴は理由がないが、損害金の支払を命じた原判決は一部不当であるから取消を免れないので、民訴第三八四条第三八六条第九六条第八九条第九二条を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 池畑祐治 秦亘 平田勝雅)

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